エゼチミブ錠は痩せる?副作用や効果について解説
- 投稿日:2023年07月24日
- 更新日:2023年12月07日
エゼチミブは高コレステロール血症の治療薬として、保険適応がある薬剤です。コレステロールの吸収を抑制し、血中のコレステロール値を低下させる作用があります。
エゼチミブの効果
コレステロールは体内(肝臓)で合成されるのが80%、食事から得られるのが20%といわれています。そのうち、エゼチミブは小腸において食事由来のコレステロールの吸収を抑えるお薬です。体内に入った食物中のコレステロールは、小腸にあるコレステロールトランスポーター(NPC1L1)によって吸収されます。エゼチミブはこのコレステロールトランスポーターの働きを阻害し、コレステロールが吸収されにくくなります。エゼチミブは油が多い食事が好きな方や外食の機会が多い方に効果的であり、脂肪の吸収を阻害して体脂肪の上昇を予防する効果があります。実際に臨床試験でエゼチミブを内服することで脂肪の吸収が約54%阻害されたと報告されています。
スタチンの効果
脂質異常症(高コレステロール血症)の治療では第一選択としてスタチンが使用されています。スタチンはエゼチミブが食事由来のコレステロールの吸収を抑制するのに対して、肝臓がコレステロールを作ることを抑制する効果があり、特に悪玉であるLDLコレステロールが高い方に効果的です。実臨床において、エゼチミブは副作用などでスタチンが使用できない方に使用されたり、スタチンとの併用で使用されたりすることが多いです。
エゼチミブの適応
エゼチミブは下記の疾患で保険適応となっています。
高コレステロール血症:コレステロールの血中濃度が高い状態
家族性高コレステロール血症:生まれつきコレステロールの血中濃度が著しく高い病気
ホモ接合体性シトステロール血症:野菜や果物に含まれるシトステロールが排泄できず、身体に蓄積される病気
ダイエット目的で内服する場合は保険適応ではなく自由診療になります。
エゼチミブの飲み方
エゼチミブはゼチーアとして販売されており、1日1回1錠を決まった時間に内服します。コレステロールは夜に活発に生成されるため、夜の服用がお薦めです。BSクリニックでは、エゼチミブと同じコレステロール低下薬としてリピトールを処方しています。
エゼチミブのダイエット効果
エゼチミブは直接的に体重減少との関連は証明されていません。正直なところ糖質制限の方がダイエットには効率が良く、ダイエット治療で注目されている糖の摂取・吸収に関わるGLP-1などのお薬の方が体重減少に関しては有効です。エゼチミブの内服を開始する方は食事療法や運動療法を併用しており、それらの効果が合わさって体重が減少している可能性が高いです。ジャンクフードが好きな方や外食が多い方に関しては、コレステロールの吸収が抑制されダイエット効果が期待できますが、エゼチミブ単独ではなく複合的なアプローチがダイエットには効率的です。
エゼチミブの副作用
発疹、下痢、腹痛、腹部膨満、吐き気・嘔吐などの症状が出る場合があります。初期症状として腹部症状を感じる場合がありますが、次第に落ち着くのが一般的です。
血液検査ではまれにγGTPの上昇を認めることがありますが、注意するべきはCK(CPK)の値です。CKは、スタチンの重大な副作用である横紋筋融解症で上昇する項目です。エゼチミブでCKの上昇が2.2%認められたと報告されています。エゼチミブと横紋筋融解症の因果関係は不明とされていますが、まれに横紋筋融解症の報告があり、脱力感や筋肉痛などの有無、CKの値に注意していく必要があります。
医師の診察・相談は必ず受けるようにしましょう。
エゼチミブの内服に注意が必要な方
高齢者は生理機能が低下しているため、副作用が出やすく、用法用量には配慮が必要です。
妊娠中、妊娠の可能性がある場合、安全性が確立されていないため、そのリスク以上に治療効果を期待できると判断された場合のみ服用するべきです。
小児以下も安全性が確立されていないため内服しないようにしましょう。
監修医師
BSクリニック 顧問医師医学博士
舟越 勇介
学歴・経歴
九州大学医学部を卒業後、数々の有名病院で勤務。癌治療や分子生物学の研究で学位を取得した後、美容クリニックの勤務を経て2023年にBSクリニック顧問医師に就任。 医療に対する学術論文を複数発表し、国内外の有名な機関紙にも掲載され評価を得る。
資格・所属学会一覧
- 日本美容医療学会 正会員
- 日本肥満学会 正会員
- 日本美容外科学会 正会員
- 日本癌学会 正会員
- 日本脳腫瘍学会 正会員
- 日本脳卒中学会 正会員・専門医
- 日本脳神経血管内治療学会 正会員・専門医
- 日本脳卒中の外科学会 正会員・技術認定医
- 日本神経内視鏡学会 正会員・技術認定医
- 日本脊髄外科学会 正会員
- 日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄外科専門医
- 日本脳神経外科学会 専門医・指導医
- 厚生労働省認定 臨床研修指導医
- ボトックスビスタ® 認定資格医
- ジュビダームビスタ® 認定資格医
- ジュビダームビスタ®バイクロス 認定資格医
参考文献
1. Thomas Sudhop 1, Dieter Lütjohann, Annette Kodal, Michael Igel, Diane L Tribble, Sukrut Shah, Inna Perevozskaya, Klaus von Bergmann. Inhibition of intestinal cholesterol absorption by ezetimibe in humans. 2002 Oct 8;106(15):1943-8.
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https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1074248409343935?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed
5. PMDA. ゼチーア錠添付文書.
引用:https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2189018F1027_3_03/
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