GLP-1ダイエットは痩せない?本当に痩せる?理由を解説
- 投稿日:2023年07月24日
- 更新日:2023年12月07日
GLP-1ダイエットは「痩せホルモン」と呼ばれているGLP-1の効果を利用したダイエット法であり、ストレスなく痩せることが可能なダイエット法として最近注目されています。
GLP-1の効果
GLP-1は身体の中にもともと存在しているホルモンであり、このホルモンにより食後の血糖値の上昇が抑制されます。GLP-1受容体作動薬はこの働きを促進するお薬であり、主に3つの効果でダイエット効果を発揮すると言われています。
1. 食後の血糖値の上昇を抑制する
糖の吸収が抑制されるため、食べても太りにくい体質になります。
2. 食事量を減らす
消化管の運動が抑制されるため、腹持ちが良くなり少ない食事量で満足できるようになります。
3. 食欲を抑える
脳の視床下部にある満腹中枢に働きかけ、空腹感を感じなくなります。
上記のGLP-1の効果により、糖の吸収が抑制され体質から太りにくくなり、また摂取カロリー自体が減少するため、ダイエット薬としての効果が期待できます。海外では肥満の治療薬として実績があり、また、日本でも自由診療の美容クリニックなどで処方されることが増え、国内でも実績が蓄積されつつあります。実際の体重減少の効果については個人差がありますが、3~4ヶ月程度で実感できることが多いです。海外の研究では体重減少率が3ヶ月で5.9%、6ヶ月で10.9%というデータが出ています。
ダイエットに効果的なGLP-1ですが、一部で痩せなかったとがっかりする意見があがっています。今回はその原因について検討します。
1. 食べても太らないという勘違い
GLP-1ダイエットでは糖の吸収が抑制され太りにくくはなりますが、食べても太らないわけではありません。過度に効果を期待してしまい、食事量が減らなかったり、間食が増えたりすることで、思ったよりもダイエット効果が出ないことがあります。いくらGLP-1を体内に摂取しても、食事量が変化しなければ痩せ効果が出ないことがあります。
2. 運動不足
GLP-1ダイエットでは食事量が減少することで基礎代謝が落ちる可能性があります。全く運動をせずにGLP-1を打ち続けるだけでは効果が出にくい可能性があり、少しでもウォーキング・ジョギング・水泳などの有酸素運動を取り入れた方が効果的です。また、基礎代謝が落ちると、GLP-1ダイエットを終了して食事量が戻った際にリバウンドしてしまう可能性があるので注意が必要です。
3. バランスの悪い食生活
GLP-1ダイエットでは食事量を減少させてダイエットを行いますが、栄養バランスが崩れることがあり、バランスの良い献立を考える必要があります。クリニックによっては食事指導をしっかりと行っている場合もあり、ダイエットと食事のバランスをきちんと考えなければGLP-1の効果が弱まる可能性があります。
4. 用法・容量を守る
GLP-1は1日1回の自己注射ですが、必ず時間を守ることが重要です。仕事やプライベートが忙しいと忘れがちですが、GLP-1の注射は簡単で時間がかかりません。非常に細く痛みの少ない針を使用し、1日1回打つだけで外出時のトイレでも注射が可能ですので、決まった時間の自己注射を忘れないようにしましょう。GLP-1は効果や副作用を確認しながら量の調整が必要です。体質や健康状態にあった量で医師に相談の上、調整するようにしましょう。用法容量を守らず使用するのは低血糖などの副作用のリスクとなったり、薬の効果が出なかったりする可能性があります。
5. 過度な飲酒
GLP-1の副作用として急性膵炎が報告されています。過度の飲酒は膵臓に負担をかけるため注意が必要です。また、お酒はカロリーが高く、せっかくのダイエット効果が薄れる可能性がありますので、カロリーの少ないお酒を適度に楽しむようにしましょう。
GLP-1はダイエット効果の高いお薬ではありますが、間違った知識で使用したり、用法容量を守らなかったりすることで、効果が発揮されなかったり、副作用が出現したりする可能性があります。必ず用法容量を守り、医師と相談の上、GLP-1ダイエットに取り組むようにしましょう。
監修医師
BSクリニック 顧問医師医学博士
舟越 勇介
学歴・経歴
九州大学医学部を卒業後、数々の有名病院で勤務。癌治療や分子生物学の研究で学位を取得した後、美容クリニックの勤務を経て2023年にBSクリニック顧問医師に就任。 医療に対する学術論文を複数発表し、国内外の有名な機関紙にも掲載され評価を得る。
資格・所属学会一覧
- 日本美容医療学会 正会員
- 日本肥満学会 正会員
- 日本美容外科学会 正会員
- 日本癌学会 正会員
- 日本脳腫瘍学会 正会員
- 日本脳卒中学会 正会員・専門医
- 日本脳神経血管内治療学会 正会員・専門医
- 日本脳卒中の外科学会 正会員・技術認定医
- 日本神経内視鏡学会 正会員・技術認定医
- 日本脊髄外科学会 正会員
- 日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄外科専門医
- 日本脳神経外科学会 専門医・指導医
- 厚生労働省認定 臨床研修指導医
- ボトックスビスタ® 認定資格医
- ジュビダームビスタ® 認定資格医
- ジュビダームビスタ®バイクロス 認定資格医
参考文献
1. Domenica Rubino, Niclas Abrahamsson, Melanie Davies, et al. Effect of Continued Weekly Subcutaneous Semaglutide vs Placebo on Weight Loss Maintenance in Adults With Overweight or Obesity. JAMA. 2021 Apr 13; 325(14): 1–12.
引用:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7988425/
2. Emily Brown, John P H Wilding, Thomas M Barber, Uazman Alam, Daniel J Cuthbertson. Weight loss variability with SGLT2 inhibitors and GLP-1 receptor agonists in type 2 diabetes mellitus and obesity: Mechanistic possibilities. Review Obes Rev. 2019 Jun;20(6):816-828.
引用:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/obr.12841
3.PMDA. ビクトーザ皮下注18mg 添付文書.
引用:https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2499410G1021_1_11/
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